社会福祉法人しおかぜ様
デイサービスセンター 新築工事

建築設計 × 工事監理

社会福祉法人しおかぜ様が2023年4月に開設された、「デイサービスセンター しおかぜ お台場」の設計・監理を担当した建築設計部の2人。下津井という地域の歴史や地元住民からの要望を踏まえ、明るく開放的で瀬戸内の景観にも溶け込む建物を造り上げました。
それぞれの立場からどのように検討を進めたのか、竣工までのエピソードを語ります。

プロジェクトメンバー

※所属は2024年9月時点のものです。

建築設計部 課長

小村 尚毅Naoki Omura

2018年入社

建築設計部 主任

井上 抄子Shoko Inoue

2020年入社

プロジェクトの流れ

  • お問い合わせ
  • ヒアリング
  • 現地調査・測量
  • 土木設計
  • 建築設計
  • 着工
  • 竣工
  • アフターメンテナンス

土地の歴史を継承しつつ
地域の未来を支える新施設を提案

――プロジェクトの経緯を教えてください。

井上

「しおかぜ」様は、漁師を引退した高齢者や、坂の多い下津井地区でケアが行き届かない1人暮らしの高齢者のために、地域の有志が資金を拠出し、そのうちのお一人が理事となって設立された地域密着型の社会福祉法人です。今回の施設「デイサービスセンター しおかぜ お台場」も、地域の方への恩返しという位置付けで新設したいとのことでご依頼いただきました。

小村

そもそも施設を建設した敷地は、下津井の街並み保存地区の西に位置する高台で、幕末にはその名の通りお台場(砲台)が築かれていました。その後、明治中期には「金波楼(きんぱろう)」という料亭が建てられ、近年火災で消失するまで地域のシンボル的な存在になっていたそうです。そのような歴史や、地域の方々が持つこの土地への思いをくみ、この金波楼を思い起こさせるような木造施設が最適ではないかとご提案させていただきました。

井上

敷地の横には祇園神社があり、普段から地域の方々が散歩されています。景観もとても良い場所です。建設に携わる中で、ぜひそのような場所に地域の皆さんが親しみを持てる建物を完成させたいという思いを抱くようになりました。

風光明媚な敷地を生かし
複雑な設計にチャレンジ

――プロジェクトを進める上で大変だったことはありますか。

小村

施設を設計するにあたり、瀬戸大橋が見える素晴らしく眺めの良い景色を最大限生かせるよう、可能な限り海側へ耐震壁を設けない、開放的な空間のある建物を目指しました。ただ、土地が扇型だったため、建物も1つの大きな箱ではなく、微妙に角度の異なる3つの箱を連なるように配置しました。そして、それぞれに屋根を掛けるような複雑な設計にすることに決まったため、その調整に苦労しましたね。

井上

設計段階では2次元の図面で確認していたのですが、いざ建設が始まって3次元での作業が進むと、どうしても想定外のことが起きました。例えば、連なった箱の躯体とそれぞれに掛けた屋根の角度が複雑なので、微妙な隙間がさまざまなところにできるのですが、その隙間が狭過ぎたため作業時に大工さんが入れないといったことがありましたね。

小村

コンピュータで計算しながら設計しても、いざ大工さんが現場でその通りに進めたら、柱の長さが足りないというアクシデントもありました。もちろんその柱は修正し、問題なく対応しています。これも複雑な構造だったからこそ生じた事例です。

井上

そうしたアクシデントを現場で収めるのは大変ですが、同時にやりがいを感じる場面でもあります。想定外の出来事は、お客様に事前説明できません。そのため、その都度現状を見ていただきながら丁寧に確認し、お客様の要望を踏まえて進めるように心掛けました。

小村

そのような苦労の甲斐もあり、周囲の景観とうまく調和した、コンパクトで親しみが湧きやすい印象の建物が完成したと思います。

竣工日に集まった人の多さに
地域住民からの注目度の高さを実感

――プロジェクトで特に印象に残っているエピソードや、うれしかった出来事を教えてください。

小村

私は竣工式が印象に残っています。式の間、工事関係者ではない地域の方々も建物周辺にたくさん集まってくださいました。実は、竣工式の後に施設のお披露目をする計画で、お客様が告知してくださっていたんです。

井上

私は竣工後の餅まきのみ参加したのですが、確かに多くの人が集まってくださっていましたね。その様子を見て感動したことを覚えています。

小村

いくら告知されていたとはいえ、興味のない建物であれば見に来られることはありませんので、皆さん楽しみにしてくださっていたのだと思います。非常に多くの人が喜んでくださっている声を直接聞けたことも、貴重な経験でした。

井上

学童保育の小学生からおじいちゃん、おばあちゃんまで、幅広い世代の皆さんから注目される施設だということを実感しましたし、その設計や建築に携われたことを誇りに思います。

地域の環境整備を手掛ける魅力を
若い世代にも感じて欲しい

――プロジェクトで学んだことや、今後に生かしたいと考えていることはありますか。

小村

本プロジェクトは、下津井地区の歴史や、地域の状況などに対して、当社が社会貢献を示せる内容だったと感じています。できればこうした仕事を若い世代にも担当してもらい、地域の環境整備を手掛ける魅力を感じてほしいと思います。

井上

当社の建築設計には若い人材が増えており、私のような中間層の人員も充実しています。今後、新しい仕事が入って来た時にはもっと面白いことができるのではないかという希望を感じています。

小村

私は、建築には地域の潜在的な魅力を引き出して再発見させる力や、人々の関心や行動に働きかける力があると感じています。今後も、都市デザインを含めた環境整備を総合的に行える当社の体制によって、地域の価値を高め、人々の豊かな生活を創造していきたいですね。

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